『BLUE PROMISES』の番外編、3作目です。
“アレの番外編”ということで期待してくださった方もいたようで、
そのワクワクにお応えできたのかどうか、まぁ作者としては気になるところでもあります。
今回は本編含めた3作品とは全く絡まない視点で書きましたが、
本当は、本編を書き上げた直後から書いてみたいなぁと思っていたのは、
この
「何も覚えていないリゾナンターの視点」だったりします。
ガキさんの存在そのものを記憶から消され、
リーダーは失踪してしまい取り残されたリゾナンターは、
いったいこの話の間に何をしていたんだろう?
これがまた、話としてベタなものを書いてしまえばあっという間に書けそうだし、
かといって起承転結しっかりとまとめ上げられる気も全くしなかったこともあって、
何だかんだで別の番外編の方が先に出来上がってしまい、
リゾナンター視点の構想はもやもやとしたまま消えかかっていました。
で、スレも第25話になって、全然別の話を1つ書き上げて一段落してきた時に、
「こはみつ読みたい」って声が上がってたわけじゃないですか。
あ、これ、ようやく活かせるかも。そう思ったわけです。
『月も一緒に笑ってる』で納得いくこはみつが書けて以来、
チャレンジしようとしても何だか上手く書ける気がしなかったのがこの組み合わせ。
ところが、じゃあアレの番外としてついに組み込んでみるか、と思った時、
「黄緑のない虹色」「空白のマグカップ置き場」がぽこっと頭に生まれて、
それで、だらだらっと話を書き始めてみました。
まずは三人称視点で書き始めてみたんですが、
これがまた客観的すぎというか、状況説明ばかりに行を割いた感じがして、
そのまま話を完結させることも無論できなくはなかったけど、
これではひとつの話の中の2割くらいが説明ばっかりになって面白くないということで、
終盤にさしかかった時点ですっぱりとこの視点は書くのを諦めました。
次にみっつぃ視点。
「マスターのいないリゾナント」で仕切るれいなとか書いてみたんですが、
これまたこの話の本筋にとってはかなり蛇足っぽい感じに。
しかも全体的に話もモッサリしている。
てことで、これは序盤でボツ行き。
同じみっつぃ視点でもう一度。
今度は余計な説明を加えず、なるべく話をスリムにしようと気をつけながら書きました。
本当だったら、高橋さんが失踪したから田中さんがひとりで頑張ってて、
すごく疲れてそうだからみんなで手伝ったり気遣ったり、
ジュンリンが手伝うとメニューに杏仁豆腐が増えるとかそんなことまで書こうとしていたんですが、
そんな風に描写を増やすからボツになっていくわけで…
話中で唐突に「高橋さんが失踪して」「一人で頑張ってくれる田中さん」って言葉を入れるのは、
いくら今までの同編ありきの作品とはいえ、やりたくなかったところなんですよね。
過去作品はあんまり覚えていなくても気軽に読める作品にしたかったもんで。
特に、れいなが主に一人でリゾナントを仕切ってるとかどこにも書いてない記述なわけで。
なので、あれこれ描写入れることと、それに目をつぶって表現を省くことと、
かなり自分の中では天秤にかけて悩んだんですけども、
結局は投下後に一言だけ、ここだけ読んでねってポイントの提示にとどめました。
「黄緑」「空白」というキーワードで、それを埋めるために小春の念写を使うことは決めていました。
逆に、みっつぃの予知という能力はあってもなくてもよかった。
どちらかといえばその純粋さとか、賢さと推理力とかそっちの方を使いたかった。
感想でいただいたように、「予知能力があったから夢を見た」のではなくて、
「考えに考えていたから夢を見た」という方が近いかな? という気はします。
ただし、夢を事実として確定させるためには、予知という能力は必須でしたね。
『BLUE PROMISES』本編を書くことで、物語のひとつという平面が生まれました。
平面を延ばした形で、番外編『-an amulet message-』、
平面を裏から捉えた形で、番外編『-Darkness has BLUE-』、
平面を斜め上から補う形で、今回の『-"Blank" of COLOR-』。
ぺたぺたと粘土で肉付けしてるイメージですねw
あんまり番外編を作りすぎてもしょうがないと思っていますが、
今のところはもう、このシリーズはこれでおしまいかな? って気がしてます。
書きたいと思っていた斜め上の視点を書けて、だいぶ満足しています。
6期やジュンリン視点が書けないというよりも、
リゾナンター視点はひとつでいいのかな…という考えからです。
まぁ、本編から9ヶ月くらい経ってこんな話書いてるくらいなのでどうなるやらw
(09/04/10)