自然相手の、途方もない規模のマインドコントロール。
通常能力では、到底そんなことはできない。
だから、「共鳴(リゾナント・アンプリファイア)」が必要だった。
さゆが普段使うことのできない防御魔法が使えたのも、
ガキさんがあの巨木に対して能力を使えたのも、れいなの力があってこそだった。
重要なカウントを数えながら、能力をフルに使っていく。
れいなが、そしてみんなが、その期待に見事に応えてくれた。
愛ちゃんやガキさんと、また笑って話が出来る日なんて来るのかな。
遠い未来でもいい、いつか、そんなささいな願いが実現するのならば。
「『夢爆弾』…、ばきゅーん」
喫茶「リゾナント」のある方角に向けて、届かぬ指鉄砲を打ち鳴らした。
これだけの日が経っていれば当たり前なのかもしれないけれど。
れいなは今、心からそう思ってくれているはずだ。
あたしが導いた正しい『力』の使い方、誰かを守る力。
ただ、自分の力を試すためではなく、大切なモノのために、誰にも負けないような。
「だけど、今はあたしと戦ってほしい」
れいなを、試したい。
「…新垣、元・お前の先輩として、命令する」
こちらを向いた吉澤さんの目は、どこまでも真剣だった。
「お前がいるべき場所は、こんなところじゃない。
ここから、逃げろ。
そして、お前を待つ場所に、今すぐ戻れ」
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Author : さぼてぃ